2016年7月15日金曜日

基準在庫法と百分率変異法による在庫高予算策定とブルウィップ効果

・はじめに

今回は卸売業、小売業の売上変動に対応して月初の在庫高予算を策定するという運営管理頻出のお話。

机の上で習う方法としては基準在庫法と百分率変異法があり、一般的に商品回転率が低い(在庫が多い)時には前者、高い場合には後者を取るとされる。

各々の数式についてはググればわかるので割愛して、以下では両者を使い分ける理由を何となく書いてみる。



・基準在庫法と百分率変異法の使い分け 




縦軸は当月の売上が月平均売上の1.1倍の時の(当月計画在庫 / 年平均在庫)
横軸商品回転数(年売上高 / 年平均在庫)


商品の回転数が少ない時(在庫が多い時)は基準在庫法による計画在庫の方が百分率変異法による計画在庫よりも平準化している(より年平均在庫に近い)が、6回転を超えると、百分率変異法の方が平準化している事がわかる。つまり、在庫の平準化→生産の平準化の観点から、

商品が低回転率の時には基準在庫法
6回転以上の時は百分率変異法を使うのが望ましいという事が解る。



以下は売上変動がそれなりに激しい時の各々の計画在庫数量である。


回転率が4の時の各々の計画在庫。基準在庫法の方が平準化している。



回転数が10の時は先ほどと異なり、百分率変異法の方が平準化している。



・で、実際

比較的平準化された在庫高予算を算定したのはいいけれども、それをした所で必要な生産量の揺らぎの解消には程遠い。


これは先ほどの条件で要生産金額を算出した結果である。生産の平準化はされてはいるけれども、根本的に無意味という印象を抱く。消費者、川下サイドから遠く離れる程、需要の見通しは立たなくなり、生産の上下変動は激しくなる。これをブルウィップ効果というのは診断士受験生の皆さんであればご存知であろう。


結局の所、需要の見通しが1か月先程度しかないといくら在庫高予算の組み方を考えても、意味は薄いという事。このようなシンプルな在庫策定は実務では行われず、サプライチェーンマネジメントなりEDIによる川上から川下までの情報共有を基にした複雑な生産計画が策定されている。

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